バイクの無い探偵事務所や興信所
探偵業界では、尾行・張り込み・聞き込みなどの実地調査のみが「探偵業の業務適正化に関する法律」で認められています。
そして、この調査項目の中でも60~70%以上が、尾行・張り込みなどの調査対象者の行動を尾行する調査なんですね。
その尾行や追跡の中で、非常に重要となるポイントとしては、どんなシュチュエーションであっても可能な限り、調査対象者を尾行・追跡し続けることなんです。
この尾行・追跡を継続できず、調査対象者を見失う(探偵用語では失尾)ってしまうと、立ち寄り先や接触人物が不明のままとなってしまい、決定的な証拠収集すらできません。
調査対象者が徒歩で動く場合を除いて、この尾行・追跡に不可欠なものを考えた場合、機動力があるバイクは必要不可欠な存在となります。
また、調査対象者が車両で動く場合、非常に高い確率で車両だけでは追尾・追跡しきれないシュチュエーションになることがあるんですね。
しかし、探偵業界ではバイクを所持していない探偵事務所や興信所、自動二輪免許すら取得していない探偵調査員が多いもの事実なんです。
今回は、この「探偵とバイク」について掘り下げてお伝えしていきたいと思います。
探偵調査の車両とバイクのメリット・デメリット
探偵調査員も一般の方達と同じで移動や調査中に使用するのは、車両やバイクです。
尾行・追跡系の行動調査では、この車両とバイクを同時に併用することで絶大な効果をもたらします。
探偵調査の移動手段がバイクの場合
バイクの場合、渋滞などに巻き込まれることが少なく、エンジンを切って押せば、すご~く疲れますがなんとか徒歩移動にも対応できます。
また、調査中でも急遽、駅前などで駐車できる場所を探す時などにも、駐車・停車できることが多いです。
しかし、雨天の場合はバイク用のレインコートなどを着用していても、服や靴などはグショグショになる可能性が高いですし、必ずタオル・着替えなどを持参しなければなりません。
そして、長時間同じ場所での張り込み・監視するような調査などには適さないことが多いです。
箇条書きですが、下記にバイクのメリットとデメリットを挙げてみました。
バイクのメリット
- 渋滞などに巻き込まれることが少ない。
- 急な方向転換でも可能な場所が多い。
- 徒歩・自転車などの移動にも対応できる。
- 駐車・停車できる場所が多い。
バイクのデメリット
- 雨天はバイク用のレインコートなどを着用しなければならない。
- 雨天は必ずタオル・着替えなどを持参しなければならない。
- 雨天は荷物が多くなる。
- 持ち運べる荷物に限りがある。
- 長時間同じ場所での張り込み・監視などには適さないことが多い。
- ヘルメットを脱いだ時には帽子などが必要な場合もある。(※髪型による)
探偵調査の移動手段が車両の場合
車両の場合、交通量の多い時間帯や高速道路や幹線道路などを走行する時などは、バイクとは違い渋滞に巻き込まれることが多くなります。
そして、調査対象者の移動距離が長ければ長いほど、対象者の運転する車両と調査車両の間に、1台また1台と一般の車両が入ってしまう可能性が非常に高いので、結果としてかなり離れてしまうというデメリットが存在するんです。
しかし、バイクとは違い長時間同じ場所で監視・張り込みしなければならない調査、特殊な調査機材を多用する調査、自転車で移動するかもしれない調査などでは、積載空間がある車両は非常に有効で絶大な効果があります。
たまに、調査車両を駐車できないような過酷なロケーションなどもあります。
車両のメリット
- 駐車・停車できる場所が多い。
- 駐車すれば徒歩移動にも対応できる。
- 雨天でも問題はない。
- 車両に積み込める範囲なら、持ち運べる荷物に制限はない。
- 自転車などを積み込める。
- 長時間同じ場所での張り込み・監視などに適していることが多い。
車両のデメリット
- 渋滞などに巻き込まれる可能性が高い。
- 急な方向転換が可能な場所が少ない。
- 徒歩・自転車などの移動に対応できない可能性が高い。
- 駐車・停車できる場所が少ない。
ここまでご覧になっていかがでしょうか。
尾行・追跡系の行動調査の場合、バイク・車両とも、それぞれメリットとデメリットが存在していることが解ります。
簡単に考えると、尾行・追跡にはバイク、張り込み・監視には車両が適正かなと思います。
バイクを所有しない探偵事務所や興信所は多い
ここからは、探偵事務所や興信所などの探偵業界のバイク・車両の所有率を考えて行きたいと思います。
統計を取ったわけではないので正確な確率ではないにしても、長年の探偵業務に関わってきた経験からある程度の目安として記載しました。
まずは、探偵事務所や興信所などの事業所が所有している車両とバイクについてです。
【事業所】探偵事務所・興信所の場合
車両の所有率:50~70%程度
バイクの所有率:5~10%程度
車両の所有率としては50~70%程度でしょう。
この結果をご覧になって、「なぜ調査をするのに車両の所有率が100%ではないのか?」と疑問が浮かぶかもしれません。
これは、調査対象者が徒歩で移動する場合もあり、全ての調査で車両を必要としないので固定費が発生する車両は所有せず、必要な時だけレンタカーやカーシェアリングなどを利用するといった費用対効果を考えた利用方法などがあるからなんです。
総合的な結果、必ず車両を所有していなくても、各種調査で必要となった時だけ、下記いずれかの選択肢で手配するといった探偵事務所や興信所も増えてきたように感じます。
1.レンタカーなどを手配する。
2.探偵調査員個人が所有する車両を出してもらう。
3.車両の用意できる下請け(外注)調査員に調査を依頼する。
バイクに関しては、探偵事務所や興信所などの事業所が所有していることは5~10%程度と非常に低い確率と考えた方がいいでしょう。
理由としては、バイクを運転するには自動二輪免許が必要になるので、探偵事務所や興信所などの事業所が所有していても運転する調査員が限られるからなんです。これも費用対効果といったところでしょうか。
しかし、全ての探偵調査員が自動二輪免許を取得しているわけではないので、事業所によっては全ての探偵調査員が自動二輪を運転できないなんて状況になっていることもあります。
総合的な結果、バイクを所有していなくても車両と同様に各種調査で必要となった時だけ、下記いずれかの選択肢で手配することになります。
1.車両と同様にレンタルバイクを手配する。
2.探偵調査員個人が所有するバイクを出してもらう。
3.バイクの用意できる下請け(外注)調査員に調査を依頼する。
次に、探偵事務所や興信所などの探偵調査員個人が所有している車両とバイクについてです。
【個人】探偵調査員の場合
車両の所有率:60~70%程度
バイクの所有率:5~10%程度
車両の所有率としては60~70%程度と探偵事務所や興信所などの事業所が所有する確率よりも若干は増えてきます。
しかし、調査対象者が徒歩で移動する場合もあり、全ての調査で車両を必要としないので固定費が発生する車両は個人でも所有せず、必要な時だけレンタカーやカーシェアリングなどを利用するといった費用対効果を考えた利用方法なども多いと感じます。
総合的な結果、探偵調査員だからといって必ず車両を所有していなくても、各種調査で必要となった時だけ、下記いずれかの選択肢で手配するといった探偵調査員も増えてきたように感じます。
1.レンタカーなどを手配する。
2.探偵事務所や興信所などの事業所が所有する車両を借りる。
3.親族に車両を借りる。
4.友人・知人に車両を借りる。
バイクに関しては、探偵調査員個人が所有している確率は探偵事務所や興信所などの事業所が所有する確率同様に5~10%程度と非常に低い確率と考えた方がいいでしょう。
理由としては、バイクを運転するには自動二輪免許が必要になるので、探偵調査員個人が免許を取得していないケースがほとんどです。
もし自動二輪免許を取得していても、調査対象者が徒歩で移動する場合もあり、全ての調査でバイクを必要としないので固定費が発生するバイクは、車両と同様に個人で所有せず、必要な時だけレンタルバイクなどを利用するといった費用対効果を考えた利用方法などが非常に多いと感じます。
総合的な結果、バイクを所有していなくても車両と同様に各種調査で必要となった時だけ、下記いずれかの選択肢で手配することになります。
1.レンタルバイクを手配する。
2.探偵事務所や興信所などの事業所が所有するバイクを借りる。
3.親族にバイクを借りる。
4.友人・知人にバイクを借りる。
以上から、調査車両の所有率とバイクの所有率は比例しておらず、バイクの所有率だけが非常に低いことが解ります。
また、探偵事務所や興信所(事業所)と探偵調査員(個人)で比較しても、車両とバイクの所有率がさほど変わらないということになります。
免許を取得していない探偵調査員が多い
ここからは、探偵調査員の普通自動車免許と中型二輪免許の取得率を考えて行きたいと思います。
統計を取ったわけではないので正確な確率ではないにしても、長年の探偵業務に関わってきた経験からある程度の目安として記載しました。
普通自動車免許と中型二輪免許の取得率に関しては下記のような状況ではないでしょうか。
【個人】探偵調査員の場合
普通自動車免許取得率:80~90%程度
中型二輪取得率:20~30%程度
探偵調査員個人が取得している普通自動車免許の確率はかなり高いのですが、中型二輪免許を取得している確率は普通自動車免許の1/3程度ではないかと考えられます。
各種調査に携わる探偵調査員であっても、普通自動車免許は取得しているが中型自動二輪免許は取得していない者が非常に多いと感じます。
総合的な結果、バイクを運転できるのは中型二輪免許を取得している探偵調査員に限定されてしまうわけですから、中型二輪免許を取得し、バイクも所有しているなんて探偵調査員は非常貴重な存在であると思いますね。
※プロフェッショナルな探偵調査員を目指すなら、下記の記事「探偵調査員に必要なもの」をご覧ください。

長文となってしまいましたが、今回は「探偵とバイク」について掘り下げてお伝えしました。
また機会がありましたら、探偵業界の色々なことについてお話していきたいと思います。