三鷹ストーカー事件差し戻し控訴審
2013年10月8日、東京都三鷹市で高校3年の女子生徒(当時18)が刺殺された「三鷹ストーカー事件」で殺人などの罪に問われた元交際相手のI被告(24)の差し戻し後の控訴審判決が2017年1月24日、東京高裁であった。
2017年1月24日 時事ドットコムニュース
差し戻し控訴審も懲役22年=三鷹ストーカー事件-東京高裁
東京都三鷹市で2013年、高校3年の女子生徒=当時(18)=が刺殺されたストーカー事件で、殺人などの罪に問われた元交際相手のI被告(24)の差し戻し後の控訴審判決が24日、東京高裁であった。秋吉淳一郎裁判長は「量刑判断に誤りはない」と述べ、懲役22年とした東京地裁立川支部判決を支持し、検察、弁護側双方の控訴を棄却した。
事件では、被告が女子生徒の裸の画像をインターネット上に公開した「リベンジポルノ」が問題となり、差し戻し審で検察側は児童買春・ポルノ禁止法違反などの罪で追起訴した。
秋吉裁判長は、名誉が傷つくことを恐れて起訴を求めなかった遺族が、告訴に踏み切った経緯を踏まえ、「遺族の意向を尊重したもので、追起訴は公訴権乱用に当たらない」と判断。その上で、「一審判決は量刑判断のあり方として正当で、刑期も相当」と述べた。
最初の裁判で、一審は懲役22年としたが、東京高裁は15年、リベンジポルノについて「起訴されていないのに処罰した疑いがある」と指摘。審理を差し戻していた。
判決後、女子生徒の両親は「児童ポルノの罪が追加されたのに量刑が変わらず、残念で悔しい」とするコメントを出した。
「三鷹ストーカー事件」裁判の経緯
一審となる東京地裁立川支部で行われた最初の裁判で、同被告は懲役22年であったこの「三鷹ストーカー事件」の経緯としては下記のような状況だ。
しかし後の東京高裁での判決は、「リベンジポルノ」は別の罪に当たる行為であり、殺人罪の刑を重くする要素として懲役22年は過大に評価したと判断。
一審での判決を破棄して懲役15年とし、審理を差し戻していた。
その後、東京地検立川支部はI被告の「リベンジポルノ行為」を児童買春・ポルノ禁止法違反(公然陳列)罪などとして追起訴している。
2016年3月4日の差し戻し審の中で同被告は、女子生徒の画像をインターネット上に投稿した「リベンジポルノ行為」について「認めます」と述べており、差し戻し後の追起訴分も含めて起訴事実を認めている。
そして今回行われた裁判で、裁判長は名誉が傷つくことを恐れて起訴を求めなかった遺族が、告訴に踏み切った経緯を踏まえ、「遺族の意向を尊重したもので、追起訴は公訴権乱用に当たらない」と判断した上で、「一審判決は量刑判断のあり方として正当で、刑期も相当」「量刑判断に誤りはない」と述べ、懲役22年とした東京地裁立川支部判決を支持し、検察、弁護側双方の控訴を棄却した。
※過去の「三鷹ストーカー事件」の記事はこちらをご覧ください。
リベンジポルノで追起訴するも懲役22年
今回の判決を踏まえ、女子生徒の遺族の気持ちを考えるとやりきれない思いがある。
なぜなら、「ストーカー殺人」以外にリベンジポルノ行為で追起訴し、「児童ポルノの罪」が追加されたのにも関わらず、量刑だけを考えると東京地裁立川支部で行われた一審と同様となる懲役22年だったからだ。
簡単にお伝えすると、一審では「ストーカー殺人」のみで懲役22年であった判決が、「ストーカー殺人」に「児童ポルノの罪」を加えているのに同様の懲役22年となっているからだ。
どんな量刑であれ、遺族の気持ちは報われないのだが、「リベンジポルノ」の被害でアップされた画像が今現在もインターネット上に表示されてしまう現状なども考えると、これだけの量刑が妥当とは思えないのだが。
二度とこのような卑劣な犯罪が起きないように、遺族の気持ちも考慮して量刑を判断してもらいたかったと思うのはエルだけだろうか・・・。